琺瑯

昔からつめたいものが好きだ。アイスもそうだし、ベッドのシーツもつめたいほうが良い。十二月の純度の高そうな空気の匂いも好きだ。それに、好きな人の手も、いつもつめたかった。

つめたそうなものも好き。ずっと前に上野の美術館で展示していた石膏像のことを今でも思い出す。それで、例の如く今も思い出している。きっとあれは触ったらつめたいんだろうなと思ったことも、閉館ぎりぎりに滑り込んで、ただ呆然と、なめらかな乳白色で、凛々しい顔をしたそれの前にぼんやりと立ち尽くしていたこともよく覚えている。

あんな風になれたらよかったなぁ。帰りの電車の中で、そんなことを思った。いくら私が極度の冷え性で手足が氷みたいに冷たくたって、あんなに美しいかたちにはなれないから、羨ましかった。今でも羨ましいと思っている。

東京に引っ越して来て二ヵ月が経った。大変だと思っていた東京での生活は存外簡単で、そこそこ慣れて、全体的にまぁまぁだ。変わったことと言えば、住まいが三階から二階になったことと、自宅から駅までの距離が近くなったことと、夫の帰りが早くなったくらいで、特段目新しい変化はない。と思う。

新しい街はなんだか新鮮味がなくて、はじめからそこに住んでいたんじゃないかと思ってしまうくらい馴染みが良い。東京のくせに何もなくてつまらないけれど、何もないくらいが丁度良いと夫が言うから、まぁ、丁度良いんだと思う。あの人の言うことは、(少なくとも私が言うことより)正しいから。

しかしまぁ、今年も特に振り返るようなことはなかったなぁ。振り返りたくてわざわざブログを作ったのに、いざ思い返すと振り返るようなことが何もない。今年は結婚式をしたし、ものすごい上司にぶち当たって身体を壊したりもしたのだけど、なんというか、他人事のような気持ちというか。そんなこともあったわねみたいな。大晦日も元旦も、ただ今日が明日になるだけくらいのテンションで過ごしているし、今年が終わるということに対しての感慨深さはあんまりないのかもしれない。

あ。でも今年は美術館にたくさん行ったし、定期的に遊べるお友だちも増えたし、良い喫茶店もたくさん見つけたし、ハッピーだったな。これからも、美しい人たちと美しいものを見続けていたい。

見続けていたいと言えば、丁度夏頃にツイッターのアカウントを作って、色んな人の生活の一部を垣間見ている。特に美容に関する情報は大体ツイッターで教わるし、綺麗になろうと努力を怠らない方々が多くてすごいなぁと感心しております。私もちょっとくらい見習わないといけないなぁ。


なんだかよくわからない文章になってしまった。足も暖めないといけないので、この辺で終わりにします。それでは。